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ただ…愛してる

第12章 はなこさんの事情

あなたの傷は
大きいの
小さいの
痛いの?


チャラい男だなぁ…とか
若すぎるなぁ…とか
なに考えてんの?とか


言えない位


貴方は傷ついて
立ち上がって…現在を生きてる


短期間で
こんなに深く
理解したいとか
思えるのが不思議…
会いたい…とか思える貴方の存在が
あたしを走らせてしまう。


この歳で
この環境で
こんな状況で


バカだと罵られても
貴方に飽きられて
捨てられる未来でも


あたしは…受け入れる覚悟が
出来てる自分が…怖くなる




ねぇ…あいと


いま、何を思い浮かべ
何を見つめてるの?
誰と居るの?



携帯を鞄から取り出し
オフィスの窓から
雨が降りだしそうな空を
悲しげに見上げた



あいと…どこも痛くないの?




『智美さん。旦那さんから電話よ』




振り返り
現実に引き戻される



『ありがとう。何番?』



『二番です』




『もしもし?どしたの?今夜帰宅でしょ
どしたの?』



旦那は…東京の出張が長引く電話だった…



『うん。わかった。気を付けて…』



女性の声が奥から聞こえていたのを
逃さなかった。



受話器は重く
あたしの総てのやる気を奪う。




あたしたちは…いつから
平気で嘘をつくようになったの?

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