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ただ…愛してる

第19章 ただ…愛してる

部屋のチャイムが鳴った。



『ん。だれ?』


時計は21時を過ぎていた。



ゆっくりと隙間から


『おにぃちゃん僕だよ♪』



俺の瞳一杯にあの日の
小さな息子君がいた。




俺は飛び出して抱き締めた



『おかえり…おかえり…うぅ。』



懐かしい匂い


『いたい。いたいよ。』


『ごめんね。ごめん。嬉しくて…
おかえり…』


はなこさんわ…どこ?



『お母さんがね、おにぃちゃんに
これを渡してこいって』



袋を目の前に出して
俺に渡した。



『僕わ、おにぃちゃんが好きだよ
お母さんが心配するから行くね』


にこにこ笑いながら
俺に背中を向けて
駆け出した。



『ばいばぁい。』



背が伸びた息子君の成長が
嬉しくもあり
寂しくもあった。



『温かなシチューと手紙が入っていた』



はなこさんの手料理を久々に
食べる。

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