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砂漠の月、星の姫~road to East~

第2章 第二夜【国境の月~road to east~】

 しかし、砂漠で何の食糧も持たず旅を続けることは、死を意味している。自分に生きよと言い続けた恋人は、何を望むだろうか。タリムが考えに耽っていると、男が言った。
「熱い中に食べた方が良い」
 タリムは我に返った。気が付けば、男の砂漠を支配する夜を集めたような黒い瞳がタリムを真っ直ぐに見据えていた。

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