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砂漠の月、星の姫~road to East~

第2章 第二夜【国境の月~road to east~】

 再び、男が竪琴をつまびく。男の指が次々と魔法のように動いて、曲を奏でる。もの哀しくも美しい曲だった。心の奥底まで届くような、心の襞(ひだ)を震わせるような哀切な美しい調べが夜の凍てついた砂漠の夜気に儚く溶け、散ってゆく。
 眼を閉じて、じっと耳を傾けていると、まるで優しい子守唄を聞いているかのような安らいだ心持ちになれる。そう、幼い日、乳母が眠りにつく前に聞かせてくれた、あの懐かしい唄だ。

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