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砂漠の月、星の姫~road to East~

第2章 第二夜【国境の月~road to east~】

 すべてのものが一夜にして砂の下へと沈んでいったのだ。タリムのきれいな瞳からひとすじの涙が流れ落ちた。男は驚いたようにわずかに眼を見開いてタリムを見つめたが、すぐに何事もなかったかのように竪琴を奏で続けた。
 タリムの心の奥底に男の弾く曲が滲みてゆく。それは彼女の疲れ切って乾いた心に優しく広がってゆく。熱砂の砂漠を潤す恵みの雨にも似ていた。

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