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砂漠の月、星の姫~road to East~

第2章 第二夜【国境の月~road to east~】

「良い曲だわ」
 タリムはもう一度、素直に己れの想いを口にした。男の手が止まった。何を考えているのか、赤い炎をじっと見つめている。短い沈黙が二人を包んだ。パチパチと炎の燃える音だけがやけに耳につく。
 男が傍らの枯れ木を無造作に炎に放り込むと、薪がはぜ、ひときわ赤く大きな炎が燃え上がった。その光景を見届けて、男はまたしても竪琴を抱え上げ、つまびき始める。

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