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砂漠の月、星の姫~road to East~

第2章 第二夜【国境の月~road to east~】

「そう、ですか」
 気丈にも涙をぬぐいながら、タリムは男の言葉に相槌を打った。祖国の最後を聞けたことは、今の彼女にとっては、むしろ幸いだった。むろん、それは彼女にとっては残酷極まりないことではあったけれど、国を捨てて一人逃れた身にとって、その最後の様子を知ることは、せめてもの償い、いや、その国の民としての務めだとタリムは考えたのだった。

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