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砂漠の月、星の姫~road to East~

第2章 第二夜【国境の月~road to east~】

 一度は捨てようと思った生命―、男とタリムの境遇は確かによく似ていた。死ぬにも死ねなくて、熱砂の砂漠を孤独に旅している。
「そなたはリーラの花のようだな」
 男―カシュガルが手を伸ばした。そっと分厚い手のひらが彼女の髪に飾られたリーラの花に触れた。タリムは彼の手が触れた部分が熱をうっすらと帯びているような気がしてならなかった。

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