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砂漠の月、星の姫~road to East~

第3章 第三夜【砂の蜃気楼】

 フィーロはこの国の宰相の息子であり、次代の宰相として早くから頭脳明晰、武芸にも優れ、将来を嘱望されている若者だ。フィーロもまた上背のある美男で、花のようなタリム姫と並べば、まるで東方伝来の絵巻物の中の人物のようだと人々は噂している。
「これでよろしうございますか?」
 ソニンが鏡の中のタリム姫に向かって問いかけると、姫は花が綻んだような微笑みを浮かべた。

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