砂漠の月、星の姫~road to East~
第3章 第三夜【砂の蜃気楼】
勝利の美酒に酔うモンゴル軍の前で、奇蹟が起こった。夜半、突然の砂嵐が見舞った。夜営中の兵士たちは天幕から転がり出たが、多くの者はあまりの砂嵐でその光景を目撃することはできなかった。
丁度、その時、ソニンは恋人と国を出たばかりのところであった。小さな国は高い壁で周囲をぐるりと囲まれ、砂漠から遮られていた。ただ一つだけ、外界との通行に使用される大門があり、平時ならばそこには検問所が設けられていたが、国自体が廃墟と化した今となっては、無人であった。
丁度、その時、ソニンは恋人と国を出たばかりのところであった。小さな国は高い壁で周囲をぐるりと囲まれ、砂漠から遮られていた。ただ一つだけ、外界との通行に使用される大門があり、平時ならばそこには検問所が設けられていたが、国自体が廃墟と化した今となっては、無人であった。