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砂漠の月、星の姫~road to East~

第3章 第三夜【砂の蜃気楼】

 その門を出た直後、突如、激しい怒号と悲鳴が背後で聞こえ、ソニンは思わず振り向いた。茶色い竜巻を思わせる砂嵐がたった今後にしたばかりの国を呑み込んでいた。
 恋人と共に急ぎ、眼についた岩場に身を潜めたソニンは祖国が砂の海に沈んでゆくのをその眼で見た。焼け残った城が、町が、人々が瞬く間に砂に呑み込まれていった。壁からはるかに離れた場所にあった敵国の兵士たちも大方は皆伏していたが、中にはその光景を見た者もいた。

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