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砂漠の月、星の姫~road to East~

第2章 第二夜【国境の月~road to east~】

 火を熾すために、周辺に落ちていた枯れ枝を拾い集めようと躰を起こしかけたときのことだった。ポロロンと、竪琴の音が淡い闇をかすかに揺らした。タリムはピクリと身を震わせ、緊張を全身に漲らせた。たとえ何者であれ、警戒してかかるに越したことはないのだ。何しろ、か弱い女一人の砂漠の旅である。 と、得も言われぬ見事な音色を響かせながら、一人の青年が薄い闇の中から姿を現した。

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