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愛 人 契 約

第2章 出会い

大学卒業後、『ニートは勘弁してよ』という親の言葉を受けて、とりあえずファミレスでバイトを始めた。

人手不足だったらしく、形だけの面接を経て即採用。

何曜日でもどの時間帯でも入れるフリーターは重宝されている。





「人のことはほっといて、自分の就活がんばんなさいよ」

「俺は要領いいんで~」



ニヤっと笑うこの男は、斎藤拓也。同じファミレスで働いている大学三年生。

やたら人なつっこくて、年下のくせに生意気だけど、憎めないヤツ。



「あっそ。さ~て、着替えて帰ろ~っと」

「あれ?休憩じゃなくて上がりだったんですか?」

「うん、だって今日ランチからだもん。じゃお先に~」





更衣室で着替えてバイト先をあとにする。

そしてかわいい雑貨屋や洋服屋が並んでいる駅までの道。

ウィンドウショッピングのつもりが、ついつい寄って何かしら買ってしまう。





「また買っちゃった…」





友達はみんな仕事で忙しいし
家とバイト先の往復の日々。

いつの間にか、ついてしまった衝動買いの癖。

退屈でからっぽな毎日を埋めるかのように?

でももちろん何も満たされない。

買ったけどそのまま、袋から出しもせずに置いてあるものもある。

それを見ると、余計むなしくなるのに…買わずにはいられない。





ふと顔を上げると、お店のガラスに映った自分の顔。

全然幸せそうじゃない。

慌てて目をそらして、駅へと向かった。

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