
旦那様と甘い日々
第1章 chapter 1
私、風見 文香(カザミ フミカ)の旦那様は少し変な人なんです。
ピーンポーン、と警戒に鳴り響いたそのインターホンの音にピクリと反応すると手に持っていたお玉を味噌汁が入っていたお鍋に戻す。
時刻は夜の10時。金曜日の夜である。
コンロの火を消し、手をエプロンで拭くと私は玄関へとパタパタ駆け出す。
二人暮らしにしては少し広めのマンションの部屋。そんな廊下を渡ると玄関のドアを大きく開いた。
相手は、確認しなくても分かる。
「お、おかえりなさい、右京(ウキョウ)さん」
扉の先にいたその男性は私がそう声を掛けると「ん、ただいま」と軽く返事をした。
風見 右京さん、大手の会社に勤めるエリート社員の私の旦那様だ。
私たちは先月籍を入れたばかりの新婚夫婦であり、こうして私が彼の家であったここに引っ越してきたのもほんの数日前。
だからこうして彼を出迎えるのにはまだ恥じらいがあった。
ちなみに歳は私が22歳で彼が26歳。
「あ、ご飯出来てますよ!」と彼を迎え入れ後ろに回り背広を預かる。外の空気に触れて少し冷たいそれをぎゅっと抱き締めた。
一週間働いてくれたんだし今日はゆっくりしてもらわなきゃ……
そう思って彼の前を歩き始めた。
その時だった。
「文、」
と名前を呼ばれ、不意に振り返るとそのまま玄関の壁に打ち付けられるように強く口を塞がれた。
