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旦那様と甘い日々

第4章 chapter 4




今日は結婚1ヶ月記念日です。



「右京さん、次あっちいきましょ」


「いいけど……そんな高いヒールで走って転ばれると困るから…」


「……すみません」



相変わらず右京さんは大人で私は子供。おかしい、4歳しか歳変わらないのにな。


幅10メートルのほどの巨大水槽を見つめる我が旦那様の瞳に映る色鮮やかな魚たち。少し羨ましかったりしなかったり。



本当は私を高級なレストランとかに連れていきたかった彼だが我が儘を言って1日だけでも恋人だった頃に戻りたくて水族館デートに変えてくれた。


買い物でもなく、本当にデートというデートで、恋人の頃に戻ったみたいだ。



「あ、見て。あの魚文に似てる」


「え、どれですか?」


「あれ」


「……や、似てないでしょ」



彼が指差した先にいたのはエラが張った不細工な魚。彼の目には私はそう映っているのだろうか。


「ま、冗談だけど」と通常運転の彼にむーっと頬を膨らました。


すると彼はその膨れた頬に手を触れ、「フグみたい」と少し意地悪な顔で笑うから私はその笑顔で心が満たされる。



「文ってば水族館みたい」


「は!?」


「赤くなっちゃってタコみたい。次は何の魚の物真似してくれるの?」


「……」


しません。



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