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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第2章 禁断の恋

 あ、と思ったときには遅かった。王は手にした紙に忙しなく視線を走らせている。
「これは」
 言いかけ、押し黙る。
「まるで恋の歌のようだ」
 続きの言葉は、まるで吐息のように洩れた。
 王のまなざしが明香を捉える。
 明香もその刹那、王のまなざしに応えた。
 まなざしとまなざしが切なく絡み合う一瞬。
 円い月だけが二人の真実の想いを見ていた。

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