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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第2章 禁断の恋

 ふいに王が懐から笛を取り出す。ほどなく得も言われぬ音色が夜のしじまに流れ始めた。
 切ない想いに身を焦がすような、心に滲み入るような音色が闇に、夜気に消えてゆく。真夜中とはいえ、庭にはまだ昼間の暑さが漂っているようだったが、池の上に張り出した四阿にいれば、涼しい夜風が池を渡ってくる。

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