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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第1章 人知れず咲く花

 そういえば、と、明香はぼんやりと思い出す。王付きの張尚宮はこの春先から体調を崩し、自室で伏せっていることが多かったが、一昨日、ついに永のお暇を賜り、実家に下がったと聞いた。まだ四十にもなっていないはずだが、元々、身体の弱い人らしい。今の王が幼少の頃からずっと側に仕えていたので、王も実の母である大妃よりも張尚宮の方によく懐いているといわれるほどであった。

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