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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第3章 すれ違う心

 王との関係は、あくまでも主上と尚宮のものでしかなかった。四ヵ月前のあの夜、確かに互いの想いを確かめ合ったはずなのに、二人ともに何も語らず、一歩踏み出そうともしなかった。
 この関係を維持してゆくのが最も良いのだと心のどこかで王も明香も判っていた。自分たちは、たとえ天地が逆さまになろうと、この世の終わりが来ようと、到底想いを口にできるものではない。

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