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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第3章 すれ違う心

 すれ違う心

 季節はうつろいゆく。
 明香が異例の抜擢を受けてから、はや四月(よつき)を数えた。
 南園の樹々は紅や黄金にと思い思いの色に染まっている。明香は少しでも時間があると、南園を歩いた。何をするわけでもない、ただ。たった一人の男の面影をその瞼に浮かべ、自らの想いに存分に浸るのだった。

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