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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第3章 すれ違う心

 チョゴリの上から、胸の膨らみを手のひらで包み込まれ、明香は悲痛な声を上げた。
「い、いや。助けて、誰か、来てっ」
 その間にも王はもどかしげにチョゴリの紐を解こうとしている。
 これが、あの優しかった殿下なの―?
 信じられなかった。
 互いに想いを秘め、月夜の下で笛とカヤグムを演奏したあの幸せな夜。まなざしの一つ一つに、互いの想いが溢れ、相手を想う気持ちが曲に乗って夜空へと飛翔していった。

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