テキストサイズ

秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第3章 すれ違う心

 それから後もたとえ想いを口にはできずとも、相手を思いやって王と尚宮という主従関係を守ってきたはずだ。なのに。
「お願い、誰か―」
 救いを求め、明香の手が差し伸べられる。
「ええい、煩いッ」
 ヒステリックに叫び、王が明香の唇を塞いだ。
 呼吸さえできないほどの口づけが延々と続く。離れたかと思えば、またすぐに角度を変えて唇を押しつけられ、明香はあまりの息苦しさにもがいた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ