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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第3章 すれ違う心

 あれ以来、目立った賊の侵入は伝えられてはいない。何と盗賊が最初に忍び込んだのが、柳尚宮の寝室だったのである! 賢(さか)しい女盗賊も入る部屋を選び間違えたのは確かだろう。
 部屋の戸が開いただけで、すぐに眼を覚ました柳尚宮はわざと眠ったふりを装い、近付いてきた女盗賊を素手で組み伏せた。たった一瞬の鮮やかな動きであった。

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