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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第3章 すれ違う心

「孫尚宮、そのように黙り込んでいては、何も判らぬ。それとも、そなたは黙(だんま)りにでもなったと申すか? 万が一、そなたが今宵の事を大切な秘密として守り他人に知られてはならぬと思うなら、そなたはここには来ぬはずだ。ここに来たからには、この事がそなたの意に添わぬものではなかったからではないのか?」
「柳尚宮(マーマ)」
 明香の大きな瞳に涙の粒が盛り上がった。

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