『秘め事は月の輝く夜に、あなたと～後宮華談～』第3章「すれ違う心」　173ページ

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秘め事は月の輝く夜に、あなたと～後宮華談～

第3章すれ違う心

　諄々と幼子に言い聞かせるように言うと、明香はぽってりと腫れた唇を戦慄かせた。
「一体、そなたをそこまで怯えさせ、哀しませた男はどこの誰なのだ？　もし名前が判っておるならば、殿下に申し上げて厳罰に処して頂くとしよう。畏れ多くも殿下の所有である後宮の女官に、しかも殿下付きの尚宮に狼藉を働いたとあっては、ただでは相済まぬであろう」