テキストサイズ

秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第1章 人知れず咲く花

 明香の混乱の疑問を、柳尚宮がすぐに読み取ったようだ。
「そなたがここに参って、幾年(いくとせ)にあいなる」
 しかし、柳尚宮の口から出たのは、明香の疑問に応えてくれる言葉ではなかった。
 が、明香は律儀に頭の中で過ぎ去った年月を数えてみる。今年、二十一になる明香が入宮したのは、そう、確か十年前になる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ