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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第1章 人知れず咲く花

 柳尚宮は、そこで初めて明香に視線を真っすぐに据える。
「多くの者たちが思い違いを致しておるようだが、尚宮という立場には派手さも輝かしさも要らぬものだ。むしろ、必要なのは、あまたの女官たちに平等に目配りでき、それぞれの努力を正当に評価できる能力であろう。贔屓の女官にのみ甘く、他の者に必要以上に厳しく接するような偏った人間ではならぬ。その点、そなたは尚宮の器として申し分ない」

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