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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第4章 心のゆくえ

 王の端正な貌が涙で滲み、明香の視界の中でぼやける。
「私はあなたが王でなくても良いの。私には、あなたがただ一人の男だから。あなたのいる場所が私のいる場所。あなたの隣が私のいるべき場所。それをあなたが私に教えてくれた」
 明香は泣きながら王のひろげた腕の中に飛び込んだ。
 これ以上ないというほどきつく抱きしめられる。
 温かな腕に抱かれ、明香は、すべらかな頬を逞しい胸にそっと押しつけた。

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