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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第1章 人知れず咲く花

 その時、明香はハッとした。
 確かに、言われてみれば、そのとおりだと思う。張尚宮はけして目立つ人ではなかった。花影に咲いた花のようにいつもひっそりと王の側に控え、表立った行動を取ることは全くなかったのだ。
 それでも、年若い王は張尚宮を心から母のように慕い、殊の外信頼していた。

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