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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第1章 人知れず咲く花

 それに、ひと月勤めて決めても良いというのであれば、やってみるのも悪くはない。
 何しろ、これは千載一遇の機会なのだ。女官の最高位ともいえる尚宮の中でも最も名誉とされる国王付きの尚宮―。女官であれば、夢見ない者はいないだろう。
 妃であれば、色香や美貌で王の寵愛を競わねばならないが、尚宮は己れの才覚と度量次第、能力を存分に活かせる立場だ。挑戦してみる価値は十分にある。
 明香の胸に秘めたる決意が芽生えた。

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