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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第1章 人知れず咲く花

 明香はその場に端座し、手をつかえる。王が良いと言うまで、面を上げるのは不敬とされているため、うつむいたままだ。
「至らぬ身の上にはございますが、精一杯あい勤めさせて頂きます」
 と、朗らかな笑い声が響き渡る。
 笑い声に誘われたように、明香はつい顔を上げてしまった。その拍子に、王と明香の眼が合い、狼狽えて再びうつむく。

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