
案内屋 〜アンナイヤ〜
第9章 パラレル いん ざ ハイウェイ 其ノ一
「ちっきしょ〜。出ねぇ〜。」
案内屋東京支部の事務所では、渋谷がイライラしながら携帯で誰かに電話をかけていた。
その相手は案の定、鏡音真央だ。
陣内に「呼び出せ」と言われ、昼からかれこれ30回近くかけている。
「なんで出ねえんだよ〜!」
渋谷はケータイを置き、机に足を乗せてくつろいだ。
「まぁまぁ、いいじゃないですか。どっちしろ仕事は明日なんでしょう?」
事務作業を終え、一息入れていた凛丸が渋谷を落ち着かせる。
しかし以前渋谷は苛立っているようだった。
だがまぁ仕方が無いだろう。
時間を置いて30回近くも電話をかけているというのに、一向に鏡音は電話に出る気配が無い。
イライラしてもおかしくは無い。
