私立愛鷹学園高等部
第17章 *祈り*
玄関をゆっくりと開く。
現れたのは、すっかり痩せた父さんの姿だった。
「と、父さん…!!!?」
「あぁ、久しぶりだな、夾。」
父さんは哀しそうに笑った。
何故かオレも笑いが出てきた。
リビングに入ると中はキレイになっていて、あの頃とは大違いだった。
「なにコレ…」
「驚いただろう?お前がいた頃とは違いすぎるな…」
「何が…あって…」
「話すと長くなるぞ?」
オレがじいちゃんに引き取られた後
母さんとは離婚したらしい。
一人になった父さんは
父さんいわく
『目が覚めた』
と、いっていた。
仕事も変えて、今では皆に慕われる上司になったそうだ。
「このままじゃダメだって、わかったんだ。もう繰り返したらいけないって、わかるようになったんだ。」
「父さん…………」
大嫌いだった
怖くてビクビクしてた
あの父さん
変われたんだな…
「本当にすまなかった、夾。すまないじゃ無いよな今更…身にも心にも、できた傷は消えないっ…」
父さんは涙を流した。
とてもキレイで純粋な涙だった。
「いや、いいんだ。なんか、オレに言える立場じゃないけど、あんな目に合って良かったよ。あの頃は辛かったけどさ、もし無かったらさ、今の親友や仲間には会えなかったってコトだろ?だから、感謝…してる。ありがとう、父さん。こうしてまた会えてよかったよ。会ってよかった。」