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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

 彩鳳はそう言いおくと、桃華の身体を突き放すように向こうへと押しやった。
 そのまま無言で後も振り返らず、寝室を出てゆく。彩鳳の大きな背中に濃い孤独の翳りが滲み出ていた。皇帝の孤独な後ろ姿を桃華は切なく見送った。いつしか十七歳の少女の良人への淡い恋慕の想いは、激しい恋の炎へと変じていた。

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