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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~

 往来の向こうから悲鳴が聞こえた。ほどなく蒼い顔で駆けてきた少女が一人。見れば、十二、三ほどの子どもと言って差し支えのない年頃だ。幼さの残る顔はひどく怯えており、
よほどの切羽詰まった状況に陥っているのだと察せられる。
「どうした?」
 男は逃げ込んできた少女に優しく問うた。少女は怯えた眼で男の上衣の袖を掴んだ。
「追われているの。お願い、助けて!」

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