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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第1章 第一話 砂漠の花

 一人の少女が緑深き山道を登っていた。ここは昆論(コンロン)山脈の山道を深く分け入った高地である。峻険な山頂近くにしてはそぐわないほど濃き緑が回りを取り囲み、清らかな流れが頂(いただき)から流れてくる。うっそうと枝葉を重ねた樹々の隙間から細く陽差しが洩れ、遠くで小鳥のさえずりが聞こえる他は物音一つない静寂に満たされている。

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