やっと、やっと…
第10章 甘い記憶
帰りの電車で智己にもたれながら
少し眠ってしまっていた
自分達の最寄の駅の近くで
智己が起こしてくれた
「唯の寝顔、可愛かったよ」
智己が恥ずかしがる私をからかうように言う
「…もうっ」
頬が赤くなるのを隠して
電車を降り、智己が家まで送ってくれた
それから智己と別れ家に入った
お風呂に入りながら
今日のことを考える
(楽しかったなあ…
プレゼントも喜んでくれたし)
それに…
今日の智己を思い出して顔が熱くなる
(あんなキスするなんて…)
あの時の感触を思い出して
指で自分の唇を触る
(智己も、男の人なんだ…)
脈が速くなって心が疼いた
だけど胸につっかえるものが
今だに取れていなかった
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