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やっと、やっと…

第11章 人の夢は儚くて





――――・・・



「・・・い、唯!」





「いつまで寝てるの?
もうお昼だよ?」







(・・・ん)






うっすらと目を開けると
お母さんが心配そうに私の顔を覗き込んでいる




「こんな時間まで寝て、
体調でも崩した?」





(あ、寝てたんだ・・・)





「早く着替えて下おいでね
ご飯できてるから!

お母さんこれから仕事行かなくちゃいけなくなったから悪いけどご飯一人で食べてね」




「そっか・・・

わかった、いってらっしゃい」





今日は日曜日なのに
お母さんは休みの日でも
急に仕事に行くことがある




お母さんが家を出て行くのを確認して重たい体を起こす





(寝すぎちゃったな・・・)




昨日の夜あれだけいっぱい泣いたから目が腫れているのか
目が上手く開けられない




洗面台の鏡で見ると目は腫れて涙の乾いた跡も残っている





(昨日の、夢じゃなかったんだ・・・)





胸が締め付けられるように痛かった




(智己に会いたい・・)





でも





(智己に会わせる顔がない

あんなことしたのに
普通に会っていいわけがない


別れるって言わなきゃ・・・)





昨日たくさん泣いたせいか
今は何故か落ち着いていた





顔を洗い服を着替える
なるべく露出の少ない服で



食欲はなかったけど
ご飯は少しだけ食べた






携帯で智己と連絡をとって
私の家の近くの公園で会うことになった






智己に会ってからも
なるべく普通でいよう




もう別れるって
決めたんだから・・・






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