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やっと、やっと…

第7章 違う姿





圭介は私の手を引いたまま早歩きで私の方を全く見ない




「・・っけ、圭介??」



声をかけても反応しない





(どうしちゃったんだろ・・?)







――それに




圭介は私の家の方向とは違う方向に向かっていた





(どこにいくの・・?!)






手を引く力が強くて振り払えない

引っ張る力が強くて後ろへ退けない



(圭介、変だよ・・)




「・・っねえ!圭介!止まって!」




私がいくら呼んでも止まってくれないし手を引く力も弱めない




いつもの帰り道とは違う道を強引に連れて行かれ、家の前で止まった






(・・・まさか)






「っ圭介!ここ、圭介の・・」




ここは圭介の家だ




圭介は私の手を引いたまま
家の中に入る





「・・ちょっと圭介!どうしたの?!」





「今日親帰り遅いから」





(・・え?)






「どういうこと?私もう帰るよ?!」








圭介はそれから何も言わず
私を自分の部屋へと押し込めた








部屋に入り
初めて圭介が私の手を離す






手首には、
強く握られた跡が残っていた






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