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やっと、やっと…

第9章 暗い闇の中




――そんな私の様子を見守ってくれていた人が居た









学校の放課後


クラスの仕事が終わった後・・







「唯・・」







机に座っている私の前に立つ








「・・智己」






智己だった








「唯、最近元気ないだろ」







智己が訝しげな顔で
私を見る






「そんなことないよ・・?」







私はいつもと変わらず
過ごしているつもりだった





「そうやって辛い時に辛いって言えないところも昔から変わってない




なんかあった?」







「・・・」






智己には隠し事なんてできない





心の中を見透かされているようで言葉がでなかった





智己は私の前の席の椅子に座り
後ろを向いて私の机に肘をつく








「まあ、俺じゃなくても
江口さんとか宮田さんとか
話せる人にちゃんと話しなよ」





優しく問いかけるように話す智己

大きな手で
私の頭を軽くぽんと撫でる






「ん、ありがとう」





優しい智己に
つい甘えてしまいたくなる




だけど、智己には話せない





あんなこと・・・







「じゃあ俺部活行くけど

大丈夫?」




俯く私の顔を覗きこむ






「あ、うん、大丈夫

わざわざありがとね」





私はそう言って
精一杯の笑顔を作る







(これ以上智己を心配させちゃいけない、我慢しなきゃ)







「おー、じゃあね

気をつけて帰れよー!」








そう言いながら教室のドアを出る









「ありがとー!」







しまりかけるドアに向けて
言った








私が辛い時、いつも智己は気にかけてくれる








智己のおかげで
少し元気が出た気がした











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