やっと、やっと…
第9章 暗い闇の中
「唯!」
智己が私の前に来る
生徒達の視線が
私達に集まる
智己が周りを見ると
生徒達は気まずそうに目をそらし
それぞれ帰っていく
「智己、何があったの?!」
圭介と智己が喧嘩なんて
珍しい光景だった
「柴田!あんたなんかしたの?」
遥も智己に聞く
「江口さん、今日唯以外に帰る子いる?」
「まあ、いるけど?」
「ごめん、今日その子と帰ってもらえる?」
「え?唯はどうするの?」
「俺が家まで送る」
「「え?」」
遥と私の声が重なる
「ごめん、話があるから・・」
(どういうこと・・?)
「・・んまあ、いいよ
ちゃんと送ってってあげてよ」
(いやいや!
私抜きで私の事決めないで?!)
「ありがと、江口さん。
じゃあ唯ちょっと待ってて!
すぐ着替えるから!」
それだけ言って智己は着替えに行ってしまう
私はただ唖然としていた
「唯ー、よくわかんないけど
大変な事になったね・・・
てか、圭介くん大丈夫なの?
柴田と一緒に帰っても」
「あ・・・」
(そうだ。
あの日も智己へが原因だった)
グラウンドから
ゆっくりと私の方に向かって圭介が歩いてくる
私は無意識に
圭介を避けていた・・・