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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第4章 春の夢 四

 伊勢屋のお内儀(かみ)は今年二十一になり、先代の一人娘で一度、聟を取ったが、三年後に死に別れている。娘時分から〝小町〟と謳われるほどの佳人で、現在もなお求婚者がひきもきらないのは何もあながち、言い寄る男どもが大店伊勢屋の身代だけが目当てではなく、未亡人はそれほどに男心をそそる色香溢れる美貌であった。

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