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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第5章 恋花二つ目~恋紫陽花~壱

 死んじまうんですかと、言いかけて、お民はその言葉のあまりの禍々しさに慄然とする。
「先生、お願いですよお、何とかしてやって頂けませんか。あの人、まだ三十二なんですよ。このまんまじゃ、あんまりですよお」
 お民の心に溢れた熱いものは、そのまま涙となった。泣きながら訴えるお民に、玄庵は幾度も頷いた。

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