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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第7章 恋紫陽花 参

―これからのことは、ゆっくりと考えてゆきゃ良いさ。
 何故か源治の先刻の声が耳奥で甦り、お民は小さな欠伸を洩らした。
 部屋の片隅から薄い掛け布団を引っ張ってくると、お民はそれを横になって引き被った。
「今夜はお前さんの隣で眠らせてね」
 お民は小さな位牌に向かって呟くと、位牌の乗っている机の傍で直に深い眠りに落ちていった。

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