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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第7章 恋紫陽花 参

 今時にしては珍しく無口で大人しい若者で、真面目だった。何を考えているか判らないところはあったものの、陰陽なたなくきちんと働き、酒も呑まない。むろん賭場に出入りすることなぞ一切ないし、この歳の男にしては稀有なことに、色宿に女を買いにゆくこともなかった。

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