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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第7章 恋紫陽花 参

「どうして、お前はいつも自分をそんな風に茶化すんだ?」
 静かすぎる瞳の奥に燃える蒼白い焔に、お民は一瞬、言葉を失う。
 月光を浴びた源治の横顔が強ばって見えた。
「あたしは別に自分を茶化してなんか―」
 慌てて源治から顔を背けたお民を、源治は食い入るように見つめている。

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