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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第7章 恋紫陽花 参

「―本当に、こんなあたしで良いの? あたしは料理はそこそこできるけど、裁縫だってろくにできやしないし、あんたもよく知ってのとおり、口だって悪いよ? ずっと先になって、やっぱり止めておけば良かったって後悔なんかしない?」
 窺うように見上げたお民の頬を、源治の大きな手のひらが包み込む。
「馬鹿だな。俺は、お前の笑顔が見ていられれば、それだけで良いんだよ。他には何も要らねえ。ただ、その笑顔だけを忘れねえで、持ってきてくれ」

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