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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第8章 三つめの恋花  桜いかだ 其の壱 

 どう見積もっても、ゆうに二十人近くはいる女は大概が若い娘で、どうやら、限られた時間内だけ店頭に並んだ安価な品を―つまり、安売りだ―我こそが先に求めようとしているらしい。
 この店は紅白粉問屋で、紅や白粉の他にも、いかにも女の好みそうな櫛とか小さな巾着とかを売っている。要するに紅白粉問屋というよりは、小間物屋といった方が近いのかもしれない。

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