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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第8章 三つめの恋花  桜いかだ 其の壱 

 女の方は男よりも幾分、年嵩(としかさ)だろう。男の方はまだ若く、二十一、二といったところだ。
 長身の、これといって特長のない平凡そうな若者に見えるが、女の腕をしっかりと掴んで引きずってでも連れてゆこうとしている様は、いささか常軌を逸している。
 女は懸命に男の腕を振りほどこうとしている。

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