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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第9章 花いかだ 其の弐

「一度、おれんさんっていう女(ひと)に逢ってみたいな。こんなにお料理が上手なら、是非教えて欲しいもの。将来、旦那さまにこんな美味しい金平を作って食べさせてあげられるようになりたいわ」
 子どもらしく無邪気に瞳を輝かせて言う娘を、弥助は少し眩しい想いで見つめる。
―まだ子どものくせに、亭主に美味(うめ)えもんを食わせてやりてえだなんて、ませたこと言いやがって。

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